「知っている人の出来る」と「知らない人の出来る」

(仕事、Patterner、)

まさしく、この言葉通りの事で困った事が何度かあります。(苦笑)

 

「小松さん、ここをこういう風にしたいんですけど」・・・と、

ご説明いただくのは良いんですが、時として物理的に無理な事があります。

 

なんとか、ご希望に添えるようにはしたいんですが、理想と現実は場合によっては違うモノ。

中でも、「お店で見た時、そうなってました」・・・言われると、ちとツライ。

さて・・・その人が、どの程度の知識を持った上で、どこまで分析して見て来たか?デス。

昔、こんな事がありました。

コートの依頼を受けたんですが・・・

「後中心にベンツを入れ、しかもリバーシブルにしたい」・・・と、言う事でした。

 

少し仕様を考えてみたところ・・・

どう考えても物理的に無理なんです。それを企画を出した方に言うと・・・

「後ベンツでリバーシブルのコートは売ってる・・・ねぇ!OOさん!売ってるよねぇ!」

と、別の人にも問いかけ・・・で、その人も「あぁ~・・・あるねぇ~・・・」

(・・・えぇ~??どう考えても無理だと思うんだけどぉ~)

 

ちょうどその頃、私よりも大先輩になるパタンナーの方と少しお付き合いがあったので

その方に電話して聞いてみました。

彼女の答えは「物理的に無理でしょう~・・・」でした。 やっぱり、そうだよねぇ。

 

結局、ベンツの重なり分の半分の所に後中心が来るように、接ぎの位置をずらして・・・

なんか、よく覚えてませんが、

そんな感じで、どうにかこうにか仕上げた記憶があります。

まだ、あの頃は歳も若く、外注としての経験も浅かったので

言われた言葉を、言葉通りに解釈して仕事してましたから、

働き方が下手だったんだと思います。

確かに「後中心にベンツがあり、リバーシブルになってるコート」

売られていたんだと思います。今、現在もあるかもしれませんね。私は見た事ないですが。

ココからは、私の想像です。

リバーシブルは問題ないです。物理的に問題なのは後中心のベンツです。

たぶんベンツは通常通りに作られていて、裏に返した時の見え方が、さほどおかしくもない

・・・ので、「このコートはリバーシブルで着れますヨォ~ (笑顔)」って、

お店の人は売っていたのではないか(?) ・・・そんな気がします。

 

それにデザインは自由だと思いますから、

教科書に載っているベンツばかりがベンツでもない・・・とも、思いますしね。

パターンの事、縫製の事など(もちろん他の分野でも同じ事が言えると思いますが)

専門的な事をあまり知らない人と話をする時は、その人が、どんな事を思い描いて

話をしているのか・・・まず、そこから理解する必要があると思います。

 

でも、専門的な事を知らない人の中にも「こういう事って出来ますか?」

ちゃんと聞いてくれる人はいます。

やはりそう言う方は、ありがたくもあり、付き合いやすいです。

そんな私も、少しは話を聞く事にも慣れてきましたかね。

 

「うん、いいよ! 言いたい事、言ってぇ」・・・と、まずは説明を全部聞きます。

そこから、どんな風に見せたいのか、妥協できないのはどこなのか。

整理しながら話を詰めていきます。

物理的に無理な時は、あまり見え方が変わらないように別の方法を考えてみたり。

 

・・・と、自分ではそう思っていますが、さてどんなもんでしょう?

ちゃんと、ご希望に添えているのでしょうかぁ?(笑)

 

 明日も全力。